FreeBSD ハンドブック : 高度なネットワーク : ISDN : ISDN ターミナルアダプタ
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15.4.2. ISDN ターミナルアダプタ

ターミナルアダプタ (TA) はISDN に対して, 通常の電話線に対するモデ ムに相当するものです.

ほとんどの TA は, 標準のヘイズ AT コマンドセットを使用しているので, 単にモデムと置き換えて使うことができます.

TA は, 基本的にはモデムと同じように動作しますが, 接続方法は異なり, 通 信速度も古いモデムよりはるかに速くなります. PPP の設定を, モデムの場合と同じように行ってください. とくにシリアル速度を 使用できる最高速度に設定するのを忘れないでください.

プロバイダへの接続に TA を使用する最大のメリットは, 動的 PPP を行える ことです. 最近 IP アドレスが不足してきているため, ほとんどのプロバイダ は, 専用の IP アドレスを割り当てないようになっています. ほとんどのスタ ンドアローンルータは, 動的 IP アドレスに対応していません.

訳注: 最近の ISDN ルータでは, IP アドレスの動的割り当てに対応している ものも多いようです. ただし制限がある場合もありますので, 詳しくはメーカ に問い合わせてください.

TA を使用した場合の機能や接続の安定性は, 使用している PPP デーモンに完 全に依存します. そのため, FreeBSD で PPP の設定が完了していれば, 使用 している既存のモデムを ISDN の TA に簡単にアップグレードすることができ ます. ただし, それまでの PPP のプログラムに問題があった場合, その問題 は TA に置き換えてもそのまま残ります.

最高の安定性を求めるのであれば, ユーザープロセス iijPPP ではなく, カーネル PPPを使用してく ださい.

以下の TA は, FreeBSD で動作確認ずみです.

他の TA もほとんどの場合うまく動作するでしょう. TA のメーカーでは, TA がほとんどの標準モデム AT コマンドセットを受け付けるようにするよう, 努 力しているようです.

外部 TA を使う際の最大の問題点は, モデムの場合と同じく良いシリアルカー ドが必要であるということです.

シリアルデバイスの詳細, そして非同期シリアルポートと同期シリアルポート の差については, ハンドブックの シリアルポート の 節を参照してください.

標準の PC シリアルポート(非同期)に接続された TA は, 128Kbs の接続を行っ ていても, 最大通信速度が 115.2Kbs に制限されてしまいます. 128Kbs の ISDN の性能を最大限に生かすためには, TA を同期シリアルカードに接続しな ければなりません.

内蔵 TA を購入して, 同期/非同期問題を片付けてしまおうとは思わないでく ださい. 内蔵 TA には, 単に標準 PC シリアルポートのチップが内蔵されてい るだけです. 内蔵 TA の利点といえば, シリアルケーブルを買わなくていいと いうことと, 電源コンセントが一つ少なくて済むということくらいでしょう.

同期カードと TA の組合せは 386 の FreeBSD マシンの場合でも, スタンドア ローンのルータと同程度の速度は確保できます. またこの組合せでは, ルータ より柔軟な設定が可能です.

同期カード/TA を選ぶか, スタンドアローンルータを選ぶかは, 多分に宗教的 な問題です. メーリングリストでもいくつか議論がありました. 議論の内容に ついては, archives を参照してください.


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