FreeBSD ハンドブック : シリアル通信 : ダイアルインサービス : 設定を始める前に
Previous: ダイアルインサービス
Next: 概要

13.3.1. 設定を始める前に

筆者は, 読者が FreeBSD に関する基本的な知識をもっていることを仮定して このドキュメントをまとめました. まず, FreeBSD が既にインストールされ ていて, UNIX 系環境においてファイルの編集の方法やシステムに付属のマニュ アルを参照する方法を知っている必要があります. また, 以下に示すように, FreeBSD の特定のバージョンが必要となりますし, いくつかの用語に関する 知識, そしてモデムや多少の配線に関する知識も必要となります.

13.3.1.1. FreeBSD のバージョン

まず, FreeBSD のバージョンは 1.1 以上を使用してください (バージョン 2.x でもかまいません. ). FreeBSD 1.0 には, 2種類のシリアル ドライバ が含まれているので, 混乱の元となり得ます. また, FreeBSD のシリアル ディバイス ドライバ (sio) は, バージョンを追う毎に改善されてき ていますので, より新しいバージョンの FreeBSD を使用することで, よりよ い, より効率の高いドライバを利用することができるはずです.

13.3.1.2. 用語解説

以下, 簡単にいくつかの用語について解説しておきます.

bps

Bits per Second の略で, データの転送速度を表す単位.

DTE

Data Terminal Equipment の略. たとえばコンピュータ本体のこと.

DCE

Data Communications Equipment の略で, 具体的にはモデムのこと.

RS-232

EIA (米電気産業協会) のハードウェア間シリアル通信の標準規 格.

これらの用語やデータ通信一般に関して, より詳しい情報が必要な場合は, The RS-232 Bible という本 (誰か ISBN 分かる方いませんか?) が参考 になると思います.

通信においてのデータ転送速度に関して, このドキュメントでは ボーレー ト (baud rate) ではなく, bps (bits per second) をその単位として 使うことにします. これは, ボーというのは一定時間に生じる電気的状態の変 化の数を表す単位にすぎず, bps という単位の方が実体に即しているか らです. (少なくとも, こういう表現をしておけば, 意地の悪い人に怒られる こともないのではないかと思います. )

13.3.1.3. 外づけモデムと内蔵モデムについて

ダイアルアップのサービスに関していえば, 外づけのモデムの方が適している ようです. これは, 多くの外づけのモデムは設定を不揮発ラムに書き込んで半 永久的に保存することができますし, また RS-232 に関する重要な情報を知る ための点滅するライトによるインディケータが搭載されているからです. 点滅 するライトは, システムを見に来た訪問者に強い印象を与えるという効果だけ でなく, モデムが適切に動作しているかどうかを知るためにも有効です.

一方, たいていの内蔵型のモデムには不揮発性ラムが搭載されていないため, ディップ スイッチの変更以外に設定を保存する方法がありません. また, も しインディケータがついていても, おそらくコンピュータのケース カバーが 外されていなければその状態を確認するのは難しいでしょう.

13.3.1.4. モデムとケーブル

以下のことに関して, 予め知っておく必要があります.

1番目のモデムの接続はたいてい簡単に行えるはずです. ほとんどのストレー ト シリアル ケーブルが使えるでしょう. 使用すべきケーブルは, 両端に適 切なコネクタ (DB-25 または DB-9 の雄または雌) のついた, DCE-DTE 間接 続用のもので, 以下の信号線が接続されていなければなりません.

FreeBSD で 2400bps 以上の転送速度を利用する場合には, フロー制御のため に RTS 信号と CTS 信号が必要です. また, 接続の確立と回線の切 断を検出するために CD 信号を利用します. さらに, DTR 信号を使っ て回線切断後のモデムのリセットを行います. ケーブルの中には, 総ての必要 な信号線が接続されていないものもありますので, たとえば, 回線切断後でも ログイン セッションが残ってしまうといった問題が発生した場合などには, ケーブルに問題がある可能性もあります.

次に, お使いのモデムにもよりますが, もしモデムのコマンドをよく覚えてい ない場合は, モデムのマニュアルをすぐに参照できるようにしておいてくださ い. このドキュメントでは例として USR Sportstar の 14,400 bps の外づけ型 モデムのコマンドを示しておきます. 他の種類のモデムをお使いの場合も, 参 考になるかもしれません.

最後に, FreeBSDで快適にモデムを使うためにも, モデムの設定方法を知って おく必要があります. FreeBSD も他の UNIX 系 OS と同様, 回線の接続およ び切断の検出や回線の切断および回線切断後のモデムの初期化にハードウェア シグナルを利用します. FreeBSD は, モデムに対するコマンドの送信やモデ ムの状態の監視を行いません. パソコンで運用されている BBS への接続に慣 れている方にとっては, ちょっとめんどうかもしれませんね.

13.3.1.5. シリアル インタフェースについて

FreeBSD では, NS8250-, NS16450-, NS16550- および NS16550A- に基づ いた EIA RS-232C (CCITT V.24) 規格のシリアル インタフェースをサポート しています. 8250 および 16450 ベースのディバイスには1文字のキャラクタ バッファが搭載されています. また, 16550 系のディバイスには, 16文字分 のバッファが搭載されていて, はるかによいパフォーマンスを得られます. (ただし, 無印の 16550 では, バグがあって 16 文字バッファが利用できませ んので, 可能であれば 16550A 系のディバイスを利用してください. ) 1文字 のバッファの物は, 16550 系のものと比べて OS にかける負荷が大きいので, 16550A 系ディバイスの利用を強く推奨します. 多数のシリアル ポートを利 用する場合や, 負荷の高いシステムにおいては, 16550A 系ディバイスを使う ことで, エラー発生率を低く押さえることができます.


FreeBSD ハンドブック : シリアル通信 : ダイアルインサービス : 設定を始める前に
Previous: ダイアルインサービス
Next: 概要