FreeBSD ハンドブック : PPP と SLIP : SLIPサーバのセットアップ方法 : 概要
Previous: 前提
Next: カーネルのコンフィグレーション

14.4.2. 概要

一般的な設定内容で FreeBSDを SLIPサーバとして利用すると, その動作は次 のようになります. まず, SLIPユーザが FreeBSD による SLIPサーバへ電話し て, SLIP専用IDでログインします. なお, このIDを持ったユーザはシェルとし て /usr/sbin/sliplogin を使います. この sliplogin は, ファ イル /etc/sliphome/slip.hosts の中から, ログインIDと一致する 記述行を探します. もし一致する行があれば, ログインしたシリアル回線を, 利用可能な SLIPインタフェースへ接続し, その後にシェルスクリプト /etc/sliphome/slip.login で SLIPインタフェースを設定します.

14.4.2.1. SLIPサーバへのログイン例

仮に SLIPユーザIDが Shelmerg とします. すると, /etc/master.passwd における Shelmerg のエントリは次のよ うなものになります (実際には一つの行に続いている) .

Shelmerg:password:1964:89::0:0:Guy Helmer - SLIP:
        /usr/users/Shelmerg:/usr/sbin/sliplogin

Shelmerg がログインすると, sliplogin は, ファイル /etc/sliphome/slip.hosts からユーザIDと一致する行を探しま す. いま仮に, /etc/sliphome/slip.hosts に次のような記述がなさ れていたとします.

Shelmerg        dc-slip sl-helmer       0xfffffc00      autocomp

sliplogin が上記のエントリを見つけると, Shelmerg が使用して いるシリアル回線を, 利用可能な SLIPインタフェースのなかの最初のものへ 接続し, 次の内容の /etc/sliphome/slip.login を実行します.

/etc/sliphome/slip.login 0 19200 Shelmerg dc-slip sl-helmer 0xfffffc00 autocomp

もし上記の手順が正常に処理されると, /etc/sliphome/slip.login は, sliplogin が割り当てた SLIPインタフェース (この例では slip.login で与えられたパラメタのうちで最初の値である SLIP インタフェース0である) に対して ifconfig を実行し, ローカル IPアドレス (dc-slip)をはじめ, リモート IPアドレス (sl-helmer), SLIPインタフェースへのネットワークマスク (0xfffffc00), およびその他のフラグ (autocomp)を設定 します. 逆に, さきほどの手順が正常に終了しなかった場合, 通常は sliplogin は十分な情報を syslogデーモン機能経由で /var/log/messages へ記録します ( syslogd(8)syslog.conf(5) のマニュアルページを参照のうえ, さらに /etc/syslog.conf を調べて syslogd がどのファイルへ記 録するかを確認のこと) .

例はこのくらいにして, さっそくシステムのセットアップを始めてみましょう.


FreeBSD ハンドブック : PPP と SLIP : SLIPサーバのセットアップ方法 : 概要
Previous: 前提
Next: カーネルのコンフィグレーション