一般的な設定内容で FreeBSDを SLIPサーバとして利用すると, その動作は次
のようになります. まず, SLIPユーザが FreeBSD による SLIPサーバへ電話し
て, SLIP専用IDでログインします. なお, このIDを持ったユーザはシェルとし
て /usr/sbin/sliplogin を使います. この sliplogin は, ファ
イル /etc/sliphome/slip.hosts の中から, ログインIDと一致する
記述行を探します. もし一致する行があれば, ログインしたシリアル回線を,
利用可能な SLIPインタフェースへ接続し, その後にシェルスクリプト
/etc/sliphome/slip.login で SLIPインタフェースを設定します.
仮に SLIPユーザIDが Shelmerg とします. すると,
/etc/master.passwd における Shelmerg のエントリは次のよ
うなものになります (実際には一つの行に続いている) .
Shelmerg:password:1964:89::0:0:Guy Helmer - SLIP:
/usr/users/Shelmerg:/usr/sbin/sliplogin
Shelmerg がログインすると, sliplogin は, ファイル
/etc/sliphome/slip.hosts からユーザIDと一致する行を探しま
す. いま仮に, /etc/sliphome/slip.hosts に次のような記述がなさ
れていたとします.
Shelmerg dc-slip sl-helmer 0xfffffc00 autocomp
sliplogin が上記のエントリを見つけると, Shelmerg が使用して
いるシリアル回線を, 利用可能な SLIPインタフェースのなかの最初のものへ
接続し, 次の内容の /etc/sliphome/slip.login を実行します.
/etc/sliphome/slip.login 0 19200 Shelmerg dc-slip sl-helmer 0xfffffc00 autocomp
もし上記の手順が正常に処理されると, /etc/sliphome/slip.login
は, sliplogin が割り当てた SLIPインタフェース (この例では
slip.login で与えられたパラメタのうちで最初の値である SLIP
インタフェース0である) に対して ifconfig を実行し, ローカル
IPアドレス (dc-slip)をはじめ, リモート IPアドレス
(sl-helmer), SLIPインタフェースへのネットワークマスク
(0xfffffc00), およびその他のフラグ (autocomp)を設定
します. 逆に, さきほどの手順が正常に終了しなかった場合, 通常は
sliplogin は十分な情報を syslogデーモン機能経由で
/var/log/messages へ記録します ( syslogd(8) や
syslog.conf(5) のマニュアルページを参照のうえ, さらに
/etc/syslog.conf を調べて syslogd がどのファイルへ記
録するかを確認のこと) .
例はこのくらいにして, さっそくシステムのセットアップを始めてみましょう.