FreeBSD ハンドブック : PPP と SLIP : SLIPサーバのセットアップ方法 : ルーティングについての考慮点
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14.4.5. ルーティングについての考慮点

「プロキシ ARP」方式を利用せずに SLIPクライアントとその他のネットワーク (Internetも含む) の構成要素との間でパケットをルーティングするときには, SLIPサーバ経由で SLIPクライアントが属するサブネットまでの経路を, 最も 近いデフォルトのルータ群へ静的な経路情報として追加しなければならないか, または gated を FreeBSDによる SLIPサーバへインストールして, SLIP サブネットについての経路情報を, 適当なルーティングプロトコルでルー タ群へ通知できるように設定するか、のどちらかをおこなわなければなりません.

14.4.5.1. 静的な経路

静的な経路を最も近いデフォルトのルータ群へ追加することが困難なことがあ ります (経路情報を追加できる権限がなければそもそも不可能となる). もし あなたの組織に複数のルータで構成されたネットワークがあるならば, ある種 のルータ (たとえば Ciscoや Proteonなど) は, 静的な経路を SLIPサブネッ トへ使うようにルータを設定しなければならないだけでなく, その静的経路を 他のどのルータへ知らせるのかもあらかじめ指定しておく必要がありますから, 静的経路に基づくルーティングを軌道に乗せるにはそれなりの専門的技術やト ラブルシューティングやコツが必要だと思います.

14.4.5.2. gatedの稼働

静的経路についての頭痛への代替手段は, gated を FreeBSDによる SLIPサー バへインストールして, 適切なルーティングプロトコル (RIP/OSPF/BGP/EGP) を使って SLIPサブネットについての経路情報を他のルータへ知らせるように 設定することです. ports コレクションから gated を用いることもできますし, the GateD 匿名 FTP サイト から探して自分自身で構築することもで きます. この文章を執筆時点の最新バージョンは gated-R3_5Alpha_8.tar.Z であり, このファイルだけで FreeBSDで 動作させることができます. gated についてのすべての情報と文書 は Merit GateD コンソーシアム からはじまる Web上で入手でき ます. gated のコンパイルとインストールを行ったならば, 独自の 設定のために /etc/gated.conf ファイルを記述してください. 次の 例は, 筆者が FreeBSDによる SLIPサーバで使っている内容と類似のものです.

----- begin sample /etc/gated.conf for gated version 3.5Alpha5 -----
#
# gated configuration file for dc.dsu.edu; for gated version 3.5alpha5
# Only broadcast RIP information for xxx.xxx.yy out the ed Ethernet interface
#
#
# tracing options
#
traceoptions "/var/tmp/gated.output" replace size 100k files 2 general ;

rip yes {
 interface sl noripout noripin ;
 interface ed ripin ripout version 1 ;
 traceoptions route ;
} ;

#
# Turn on a bunch of tracing info for the interface to the kernel:
kernel {
 traceoptions remnants request routes info interface ;
} ;

#
# Propagate the route to xxx.xxx.yy out the Ethernet interface via RIP
#

export proto rip interface ed {
        proto direct {
                xxx.xxx.yy mask 255.255.252.0 metric 1; # SLIP connections
        } ;
} ;

#
# Accept routes from RIP via ed Ethernet interfaces

import proto rip interface ed {
        all ;
} ;

----- end sample /etc/gated.conf -----

この gated.conf ファイルの例では, SLIPのサブネット xxx.xxx.yy についての経路情報を RIPを使って Ethernetへブロー ドキャストしています. もし ed ドライバ以外の Ethernetドライバを使 うのであれば, ed インタフェースの記述を適切なものに置き換えてくだ さい. またこの例では, gatedの動作をデバッグするために, /var/tmp/gated.output へトレース情報を出力するように指示して います. gated が希望通りに動作したならば, このトレースオプショ ンを止めることができます. なお, 例における xxx.xxx.yy を, あ なた自身の SLIPサブネットのネットワークアドレスに換えてください (また proto direct 部分のネットワークマスクも換えることを忘れないこ と) .

gated のコンパイルとインストールが終了し, コンフィグレーショ ンファイルの作成も完了したら, FreeBSDシステムではデフォルトの routedに代わって gated を起動してください. そのため には, /etc/netstartrouted/gated 起動パラメタを 適切な値に設定してください. gated のコマンドラインパラメタにつ いての情報は, gated のマニュアルページを参照してください.


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